応急手当て(止血法)

応急手当ては、けがや病気を治すために行なうのではなく、現在以上に悪化させないことを
目的に行います。 適切な応急手当てを行なう為には、まず観察を行ない傷病者の状態や
訴えを把握します。 観察順序は事故現場の安全を確認すると共に、生命に
直接関係ある内容から実施します。

@傷病者が倒れている場所は安全かどうか。
 (事故現場が危険な場合には、すぐに安全な場所に移動します。)
A大出血があったら、すぐに止めます。
B傷病者は、意識があるか、ないかを観察します。
 意識がなければ近くの人に協力を求め、救急車を呼びます。
C口の中に何か詰まっていたら取り出します。
D口の中を確認したら、空気の通り道の気道を確保します。
E呼吸の観察をして呼吸が止まっていたら、すぐに人工呼吸を行います。
F脈拍の観察をして、脈も触れなかったら人工呼吸に併せて
 心臓マッサージを行います。(心肺蘇生)

◆止血法

☆出血の種類

緊急に応急手当てを必要とするのは動脈性出血です。 静脈性出血も
太い静脈からの出血だと大量となり、手当てが遅れると短時間でショックに陥ります。
毛細血管性出血は指の先を切ったり、すりむいたような時の出血なので、
このような時は人工呼吸や心臓マッサージを優先させます。

止血の基本は圧迫であり、出血部位を清潔なガーゼや布で強く押さえる
直接圧迫止血法が最もすすめられます。 間接圧迫止血法は、手や足の動脈性の
出血が激しく、直接圧迫止血法では困難な場合に止血点を圧迫する方法です。

☆止血点として

@上腕〜脇の下の中央を片手か両手で肩関節に向かって圧迫します。
A前腕〜上腕の中央部内側を片手の親指か他の四指で上腕骨に向かって圧迫する。
B下肢〜股の付け根の所に、こぶしか手の付け根を当て体重をかけて圧迫します。
C手〜手首の付け根を片手で強く握り圧迫します。
D指〜指の両側を親指と人差し指で骨に向かって圧迫します。

☆止血帯による間接圧迫止血法

@止血帯を巻く位置は出血している所から中枢側(心臓寄り)の所の
 上腕か大腿部に止血帯を巻く。
A止血帯として使用する時は、できるだけ幅の広い(3cm以上)三角巾、包帯などを
 用いて強くしばります。針金や細いひもでは圧迫が不十分であり、
 また組織などを損傷させるので使用しません。
B止血が不十分な時は図に示すように止血帯の間に棒などを入れ、これを回して
 止血します。出血が止まったら、それ以上きつく締めないようにします。
C30分以上、止血帯による止血を続けなければならない場合は30分に一度、
 緊縛をゆるめて血流を再開します。 再開は1〜2分とし、止血帯より末端側が
 赤みを帯びて出血部から血液が、にじみ出る位とします。再開の間は出血部位を
 直接圧迫して出血量の増加を防ぎます。
D止血帯を使用したら必ず止血時刻を正確に記録します。

動脈性出血

静脈性出血

毛細血管性出血

身体各部の止血点

止血帯法